「主張」について考える本
題名では「議論」とありますが、実質自分(もしくは相手)の「主張」について解説された本と捉えたほうがしっくりきます。主張を捉えるツールとして、王道の古典的な3段論法、そしてトゥールミン・モデルをもとに詳しく解説されています。トゥールミン・モデルの解説については邦訳されたものとしては未だ本書がNo1のボリュームでしょう。ただ、議論をもう少し動的なものと考えると、途中で終わってしまった感が残るかもしれません。確かに議論の際には自分や相手の主張をしっかりと捉えることは必要ですが、それ以上にその主張に対してどのように反応し、主張をどのように変えていくのか、というプロセスが重要なはず。その部分については期待薄です。 さらに、筆者は分類好きなのか、結構いろいろな分類をしたりしています。これは人によって評価の分かれるところでしょうが、あまり分類しても、それって意味あるの? と感じる部分はあります(トゥールミン・モデルの分類は趣味の世界に近い印象もあります)。 以上総じて言うと、「論理的に自分の考えを作り上げる」ということに興味がある人、かつパターン認識が得意な人にとってはたまらない一冊でしょう。一般的にはこのレベルまで理解しないとまともな議論ができない、というわけではありませんので、福沢一吉氏の「議論のレッスン」を読んで、その世界に深く入りたい方にはぴったりだと思います。
木鐸社
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