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世界史のなかの満洲帝国 (PHP新書)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 32020 位
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「満蒙」とは?
著者が遊牧民の歴史を専門としているせいもあろうが、
満洲の歴史を理解するためには、その前提として
モンゴルの歴史を理解している必要があることを痛感させられた。
たとえば、戦前の日本の大陸における植民地政策を扱った書物で
「満蒙」という表現が頻出することが、以前から気になっていたのだが、
なぜ満洲とモンゴルが並列的に扱われるのかといえば、
清朝が元来、満洲人・モンゴル人・漢人の三者に推戴された王朝であり、
前二者が連合して漢人を統治するという基本的性格を持っていたからだ。
このことを知っていれば、辛亥革命で清朝が崩壊したのちに、
日本の影響下で「満蒙」の独立運動が展開されたことも、
一連の流れの上では半ば当然の経緯として理解できるのだが、
おそらく戦前の日本人は当たり前のように知っていたはずのそんなことすら、
本書を読むまでは私の知識の埒外にあった。
現在のモンゴルが、いわゆる外モンゴル国家と、
中国統治下の内モンゴル自治区に分裂したことも、
もとをたどれば日露戦争後、蜜月を迎えた日本とロシアが
秘密協約で相互の勢力範囲を定めたことに原因があり、
日本と「満蒙」の歴史的関わりはきわめて深い。
個々の筆者の主観的見解が入り込みやすい対象でもあるが、
「可能な限り簡便な通史を提供したい」という著者の目的は、
本書でひと通り達成されたと言っていいと思う。
中国が支配する満洲はどうなっていくのか
満洲がアイデンティティーの高い地域であり、清朝になって中国と同一国家として支配されるまでは、マンチュリアとして認識されていたということをこの本で知った。古代ローマに譬えると満洲はガリア(現フランス)にあたるのかもしれない。ローマが防衛線をライン川に決めたように日本も防衛線を万里の長城と黒竜江に決めていたら歴史は変わっただろう。しかしそうはならず、日本は中国と戦争し、南方へ進出し、敗戦。結局漢人の中国が満州を支配した。急速に近代化した日本はシビリアンコントロールは効かず、立派な政治体制をもっていたわけでもなく、国民の人権意識は低く、尊敬されるような国でもなく大陸から追い出されたのだ。はたして漢人の支配する中国は満洲を富ませ、尊敬され、国民の意識が高い国となることができるであろうか。
ノモンハンのことも書かれてます。
ノモンハン事件の真相が明らかに! な訳ないけど、外蒙古族の縄張りと関東軍の国境の線引きに由来するそうです。 本書は満洲史の概略となっていますが、満洲の名前の由来が最後まで余り判らず終いとなってしまいました。
中国「東北地方」という歴史捏造をあばく
もし読者が、岡田英弘氏の諸著作を未見なら、まず、『だれが中国をつくったか』、『皇帝たちの中国』等等を読まれ、中国史に対するパラダイムに風穴を開けてから、本書に臨まれるが賢明であろう。宮脇氏は、自他共に認める岡田史学の継承者である。いわゆる「中国史」は、とくに中国におけるそれは、政治優先による捏造歪曲の歴史である。著者の本書における言を借りれば、「古来、中国には歴史はない。あるのは政治だけ」である。それを知ってか知らずか、わが国においても、「偽満洲国」などと何の批判性をもたずに、中国における用語をそのまま用いる「史学者」も多い。著者の視点は、おのずとそれらの曲学阿世とは異なるは当然であろう。新書という限られたスペースで、書くべきことは書かれたと、その志と成果を大いに賛揚すべきである、中国史におけるパラダイムシフトの進行に貢献大なりと。
「満洲」独自のアイデンティティに着目
本書は、有史以来の満洲(中国東北部を中心とした地域)の歴史を概観しつつ、いわば地域史的なコンテクストの中で満洲帝国の史的な位置付けを探ろうというものです。著者はモンゴル史の専門家ですが、史学者としての立場から、政治的な色彩をなるべく排除することにより、ありのままの満洲帝国の姿やその成立の背景を説き明かそうとしているようです。
著者は、清朝統治下における同君連合的関係のために漢土への統合が進んでしまったものの、歴史的に見れば、満洲の地は独自のアイデンティティを有する一つのレッキとしたエンティティである旨を主張しています。そうした主張を、傀儡帝国成立に対する評価とどう結び付けようとしているのかは必ずしもハッキリしませんが、いずれにせよ、ある「地域」がもつ歴史的な特性に着目しようとする眼差しは、これからの中国を考えていく上でも大切な示唆を含んでいるように思います。
満洲帝国の位置付けをどう考えるかについてはともかく、本書は、満洲の歩みやこの地域の地政学的な意味合いを考えるという見地からすれば、よく整理された良い入門書と言えるのではないでしょうか。
PHP研究所
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