美しいオペレッタでバーチャルな19世紀末パリを体験
イタリアオペラは外国志向が強く、パリを舞台にしたものでは「椿姫」「ラ・ボエーム」の二大名作がある。ひきかえドイツオペラは国内びいきだが、オペレッタは話が別で、パリものでは「メリー・ウィドー」「ルクセンブルクの伯爵」そしてこの作品が代表的だろう。いきなりロートレックの絵で幕をあけ、画伯自身がモデル相手にパリのゴシップを物語るという形で話が進められる。そして何と全編ロートレック調の書き割りがバックなのである。意地悪くいうと、豪華なセットが売りのこのシリーズとしてはかなり経費節減した感じだ。キャストも馴染みがある歌手はハロルド・セラフィンぐらいで小粒な感は否めないが、三人のソプラノ(一人は女優ですね)はチャーミングだし、狂言回し役のタチアナ・イワノヴァがまさにロートレックの絵から抜け出たような容姿と存在感で場面をさらう。豪華さやスケール感を小味なセンスやアイディアで補った作りなのである。 ちなみにオペラ座での大舞踏会はウィーンだけの風習だそうで、レハール作品でで描かれるものと同様、ここでのパリもあくまでウィーンっ子の心の中に存在する夢の都なのだろう。 この「オペラ舞踏会」は話が「こうもり」の二番煎じっぽいせいか今ひとつ知名度がないが、リヒァルト・シュトラウスにも通じる爛熟・倦怠の気配も漂う美しいオペレッタ。確か日本では全曲レコードも出たことが無かったと思うが、ベテラン指揮者マッテスの棒も快調なこの映画版を機に多くの人に親しんでもらえればと思う。
ニホンモニター・ドリームライフ
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